大震災で倒壊してしまったお寺のご住職がおっしゃっていました。
「ほとんど全てのものが壊れてしまいました。お墓もです。諸行無常ですね。」
それを聞いて学生時代に習った平家物語のあの有名な冒頭部分を思い出しました。
繁栄していた平家が没落していく様子。
『祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす』
”諸行無常”
世の中のすべてのものは常に移り変わる。
永久不変のものは一つも無い。
『平家物語』では繁栄も永久には続かず必ず滅びゆく、という一説だったように記憶していますが、
諸行無常とは「良くも悪くも永遠には続かない」ととらえてもいいのかなと思ったりします。
良いことは永久に続くわけではない、と思うと何だかむなしくなりそうですが、
一方で、悪いことも永久ではないと思えば元気が出そうです。
すべては常に移り変わっていくから、大切にしなくてはならないのは「今」。
良い状態が続いている時はその状況に甘んじることなく戒めの言葉として、
悪い状態が続いている時はその状況が続くわけではないので乗り切るための勇気の言葉として、
自分のなかに置いておきたい言葉のひとつだと思っています。
あたりまえのことですが、「今」は今の一瞬しかない貴重な時間。
その一瞬一瞬の結晶が未来をつくりあげていくわけですよね、ぞんざいにしてはいけないなと思います。